通常のグラデーションは、一定の方向にのみ色が変化する線形と、中心を基準に外側に色が変化する円形という2種類しかありません。
もっと複雑なグラデーションを作成したい、Illustratorでリアルなイラストを作成したい、そんなときの選択肢の一つがグラデーションメッシュとなります。
通常のグラデーションに慣れてきたところで次の段階。
複雑なグラデーションが作れるグラデーションメッシュに挑戦してみましょう!
【ワイヤーメッシュ】というキーワードで検索されている方がいるようです。
おそらくグラデーションメッシュの事ですので、この記事で大丈夫です。
グラデーションメッシュを練習する場合、写真を元にするのがやりやすいと思いますので、以下の様な条件を元に写真を探します。
- グラデーションメッシュの概念を理解するには棒状の形が適している。
- 比較的に複雑すぎないトレースしやすい形態。
- 陰影はあるがベース色は単色。
こういった条件のもと、いろいろなブログで使われている写真素材サイトのぱくたそで探してみます。
上記条件に近いのは、ぱくたその中ではナスの写真だったので、こちらをお借りすることにしました。
フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) |
グラデーションメッシュの注意点
グラデーションメッシュを使う上で気をつけることがあります。
それはこれまでIllustratorを使う上でやってきた、「形をトレースしてから色を塗る」という手順が、メッシュでは通用しないということなのです。
以下は通常の手順でやってみたものです。
トレースが終わったオブジェクトを選択し、メッシュツールでクリックしてみますと、中心はともかく端の部分のアンカーポイントが、不自然な箇所に発生してしまいます。
グラデーションメッシュは、アンカーポイントにそれぞれ色を設定でき、アンカーポイント間で色をブレンドすることで複雑なグラデーションを発生させる、というのが大まかな仕様です。
感覚的には実際に描こうとしているモチーフが目の前にあると想像して、それにちょうど網(メッシュ)を掛けるという事に近いと考えると判りやすいと思います。
※または3DCGのワイヤーフレーム表示(「ワイヤーフレーム」で画像検索するとかなり出てきます)を参考にすると非常に判りやすいです。
そのため、上記のようなアンカーポイントの状態になってしまうと、中心は良いとしても端の部分が上手く表現できなくなってしまいます。
今回のナスの様な棒状の形態の場合は、先端側とヘタ側にそれぞれアンカーポイントが発生するように作っていくと上手にメッシュ分割を進めていくことができます。
長方形からグラデーションメッシュオブジェクトへ
それではナスの写真をダウンロードしてきましたので、実際にナスの形状と色味が近づくように進めてみたいと思います。
棒状の形態のものに限らず、グラデーションメッシュに変換される前の形状は、四角形の方が経験上やりやすいと感じていますので、まずは長方形を作成します。
この時点では色はなんでも構いませんが、私の方ではとりあえずナスのベース色に近い色を作成しました。
長方形が作成できましたら、これもかなり適当ですが、ナスの角度と長方形の角度を近づけた後、メッシュツールに切替えて、長方形のどれかのアンカーポイントをクリックします。
これで長方形オブジェクトから、メッシュオブジェクトに変換されます。
ここで色などを設定する前におおまかに形をナスに近づけていきます。
ただ、メッシュオブジェクトは輪郭線のみという状態にすることができないため、元の形状に近づけるのがかなり難しくなってしまいます。
表示メニューのアウトライン表示を選ぶことで全てのオブジェクトを線で確認することができますが、そうすると写真も見えなくなってしまうのでうまくいきません。
ここでレイヤーパレットでメッシュオブジェクトが入っているレイヤーのみアウトライン表示にしてみます。
レイヤーパレットのレイヤーの表示/非表示のアイコン(目のマーク)を、Ctrl(Cmd)キーを押しながらクリックします。
これにより、このレイヤーのみアウトライン表示になります。
メッシュレイヤーのみアウトライン表示にできたら、アンカーポイントの位置を変えたり、ハンドルの角度や長さを変更して、実際のモチーフの形に近い状態にしていきましょう。
元が生モノのため、まっすぐな形状はしていません。
若干反った状態に見えるように、メッシュツールで中間など各所にアンカーポイントを作成していきます。
※この段階では輪郭のみにアンカーポイントを作成していってください。
ナスの上側と下側のパスを結ぶ新たなパスが発生したら、これをナスの形状に合うように、つまりは立体を意識して棒状に見えるようにハンドルを調整していきます。
ここまできたら、あとは先端からヘタ側へと横断するパスが必要になりますので、下図の様にアンカーポイントを作成していきます。
※下図はいきなりかなりアンカーポイントが増えていますが、一気に増やさずに少しずつ、かつ色の変化がある場所にポイントを作成していって下さい。
ここでダイレクト選択ツールに切り替えて、色を変更したいアンカーポイントを選択してからスポイトツールでアンカーポイント周辺の色をクリックします。
すると、選択したアンカーポイントにその色をつけるコトができます。
この様にして作成していくと下図の様に複雑な変化を持ったグラデーション、グラデーションメッシュとなります。
グラデーションからグラデーションメッシュへ
通常のグラデーションからメッシュオブジェクトに変換することもできます。
とくにCDの記録面の様な、乱反射したような状態を作成するにはこちらが便利です。
まず、正円を作成し、これを円形グラデーションにしておきます。後ほど色は変更してしまうので、デフォルトのグレーのグラデーションのままでOKです。
次に、正円のオブジェクトを選択した状態で、オブジェクトメニュー→分割・拡張を実行します。(CC2017ではオブジェクトメニュー→アピアランスを分割後に分割・拡張を実行して下さい)
分割・拡張ウインドウがでてきましたら、グラデーションの分割・拡張からグラデーションメッシュを選択しOKを押します。
若干グラデーションの雰囲気が変わった状態になったと思います。
続いて、右クリックしてグループ解除、もう一度右クリックしてクリッピングマスク解除を実行します。
すると一回り円が大きくなったような状態になります。
元々の円の大きさの輪郭だった部分をクリックするともう一つ円があるので、それを選択して削除します。
残った円はメッシュオブジェクトになっていますので、こちらを一度選択ツールで選択してRGBまたはCMYK(書類のカラーモードに合わせてください)でグレーを作成しておきます。
メッシュツールに切替え、現状90度毎の4分割となっていますので、中間の45度毎にアンカーポイントを追加して8分割になるようにします。
中心に向かう線上にある2点のアンカーポイントを、ダイレクト選択や投げ縄ツールで選択してそれぞれ色を付けると、CDっぽい色の変化になっていきます。
今回は45度ごとに分割しましたが、もっと細かく分割していけばより細かい色の変化をつけることができます。
グラデーションメッシュ:まとめ
- グラデーションメッシュは通常のグラデーションではできない複雑なグラデーションを作成することができる。
- メッシュを作成する場合は形をトレースしてからメッシュ化するよりも、なるべく長方形などシンプルな形状からスタートするのが良い。
- 通常のグラデーションからメッシュに変換することも可能。
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