宇宙…そこは最後のフロンティア。
これは宇宙戦艦エンタープライズ号が、新世代のクルーのもとに24世紀において任務を続行し、未知の世界を探索して、新しい生命と文明を求め、人類未踏の宇宙に勇敢に航海した物語である…。
《TNG冒頭の口上を引用》
アメリカの映画プロデューサー、ジーン・ロッテンベリーにより生み出されたSFドラマ、それが「スタートレック・シリーズ」です。
今回、スタートレックの中でも人気が高いTNG…日本では「新スタートレック」と呼ばれているシリーズの人気キャラクター「ピカード艦長」が復活するということで、スタートレックファンがとても興奮しています。
いやービックリしました!もはやピカード艦長の新しいストーリーを見ることは無いだろう、と思い込んでいました。
まさか、復活するとは!
ピカード艦長が帰ってくる!
2002年、劇場版「スタートレック ネメシス」がエンタープライズEクルーが終結する最後のお話、とスタートレックファンは思っていました。
また、特に私の中で全スタトレシリーズの中でも最高の艦長だと思っている、ピカード艦長が見られるのは「ネメシス」で最後だと思っていました。
歴代の艦長は情熱的だったり、過激だったりする性格の持ち主が多い中、ピカード艦長は地球人類にしては珍しく冷静沈着です。
トラブルが起きても平和的解決を望み、戦闘行為は本当に最後の手段として使います。
そんな非常に有能な指揮官ですが、ある種族に対してだけは全てのカセが外れ、超攻撃的になります。
その種族こそスタートレック最大の敵ともいわれる機械生命体「ボーグ」。
ピカードはこの種族に一度拉致・同化されボーグの指揮官として利用されたことがあり、その経験からボーグに対しての大きな嫌悪感を持つことになります。
普段は何事にも動じず冷静に問題を解決していく頼れる名艦長が、ボーグに対してだけは感情をむき出しにするというのもピカード艦長の魅力です。
そのピカード艦長がスタートレックに戻ってきます。
演じるパトリック・スチュワートは御年78歳。
大丈夫なんだろうかとも思いますが、ピカード艦長といえばこの人しかいません。
まだいつから始まるのかとか、どんな話になるのかなど、具体的なことは発表されていませんが、今から新シリーズが楽しみでなりません!
実は繋がっている旧作とリブート版?
「スタートレック」というと、あなたが思い浮かべるのは、2009年より公開されたリブート版ではないでしょうか?
クリス・パインがカーク船長を、ザカリー・クイントがスポックを演じて話題になりました。
普通リメイクってストーリー上繋がりは無いものじゃない?
最近スタートレックを知った多くの人はこのように考えているようです。
もちろんリブート版は一般的にはリメイクと認識されている事が多いですよね。
リメイクした場合は、シリーズ全体のストーリー進行をリセットして作り直します。
しかし、このリブート版スタートレックは違います。
実際はリブート版は旧作とストーリー上のつながりがあるれっきとした「新作」なのです。
そのため、隠しタイトルでは「StarTrek XI」になっています。(ネメシスはStarTrekX)
ネメシスより後の時代に起きた災害で、母星を失った男は復讐による時空改変で分岐した並行世界を作り出します。
その並行世界こそがリブート版スタートレックなのです。
もちろんリブート版だけでも楽しめますが、
この人何者なんだろうという疑問への答えが旧作にあったりします!
TVドラマ版スタートレック
さて、一般の人にはあまり知られていないようですが、
実はスタートレックの最新作はリブート版の映画ではなく、TV版の「スタートレック:ディスカバリー」です。
日本ではNetflixで独占配信と、ひっそり公開されています(笑)
当初この記事ではTV版も映画版もご紹介しようと考えていました。
しかし、TV版は6シリーズ、映画は13本あるため、全部紹介するとすごく長くなるので今回はTV版のみご紹介します。
紹介文は放送開始順に並べていますが、
スタートレックの歴史的には下の図のようになっています。
ちなみにエンタープライズからヴォイジャーまでの世界線(黄色)はプライマリー・タイムライン、リブート版の世界線(ピンク)はケルヴィン・タイムラインと呼ばれています。
Star Trek《TOS》1966年~
邦題:宇宙大作戦
主役艦:USSエンタープライズ
主要人物:カーク船長、スポック、マッコイ、スコットなど
23世紀を舞台とした全ての始まりの作品。
超光速航行技術「ワープ」を手に入れた地球人類は、友国ヴァルカンを始めとするいくつかの他星系種族と惑星連邦を結成していた。
そして惑星連邦を守り、深宇宙探査・防衛・外交・巡視・救難などの任務を行うのが惑星連邦宇宙艦隊である。
その旗艦エンタープライズ号を舞台としたクルーの物語。
Star Trek the Next Generation《TNG》1987年~
邦題:新スタートレック主役艦:USSエンタープライズD
主要人物:ピカード艦長、ライカ―、データ、ウォーフなど
カーク船長率いるU.S.S.エンタープライズの活躍から約80年後の24世紀。
伝統ある艦名を受け継ぐ惑星連邦宇宙艦エンタープライズDは、冷静沈着なピカード艦長に率いられていた。
艦長とは対照的に情熱的なライカー副長、人間に憧れ学習するアンドロイドのデータ、クリンゴン人でありながら連邦士官となったウォーフ。
個性あふれるクルーたちによる、次世代のエンタープライズの物語。
Star Trek:Deep Space Nine《DS9》1993年~
邦題:スタートレック:ディープスペース・ナイン
主役艦:宇宙ステーション:ディープスペース・ナイン
USSディファイアント
主要人物:シスコ司令官(艦長)、キラ、オドー、ジャッジア、オブライエンなど
24世紀。惑星連邦最大の脅威《ボーグ》による地球侵攻の被害により妻を亡くしたシスコは絶望の底にあった。
ある日惑星連邦よりシスコの元に命令が下る。
カーデシアの支配から脱したベイジョー星に隣接する宇宙ステーションDS9の司令官に着任せよ、と。
ピカード艦長率いるエンタープライズDにより、DS9に送り届けられたシスコは当初絶望感と、ピカード艦長への反発心から、艦隊士官を退役することも考えていた。
しかし、ワームホールの発見、そしてそこに住まう「預言者」と出会ったことで、考えを改めることとなる。
ディープスペースナイン
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Star Trek:Voyager《VOY》1995年~
邦題:スタートレック:ヴォイジャー
主役艦:USSヴォイジャー
主要人物:ジェインウェイ艦長、チャコティ、トゥヴォック、7of9など
惑星連邦の宇宙艦ヴォイジャーは反連邦組織マキの追跡調査任務中、謎のビームに捕えられ、地球から遠く離れたデルタ宇宙域に飛ばされてしまう。
その原因を作ったのは「管理者」と呼ばれる生命体だった。
同じく管理者に捉えられていたマキのメンバーをクルーに加え、惑星連邦最新の艦ヴォイジャーのワープ航行でも70年かかる地球までの帰還を目指す。
しかしその道のりは危険な機械生命体ボーグも立ちふさがる、いばらの道だった。
Star Trek:Enterprise《ENT》2001年~
邦題:スタートレック:エンタープライズ
主役艦:エンタープライズ NX01
主要人物:アーチャー船長、トゥポル、タッカーなど
カーク船長の冒険よりも100年程前。
22世紀の地球人類はヴァルカン人たちに「まだ未熟な種族」とみなされ、宇宙に出ることを許されていなかった。
しかしそれでも宇宙進出への夢をあきらめられない人類は、衛星軌道上で最高速度ワープ5の深宇宙探査船「エンタープライズ NX-01」を完成させる。
地球での異星人同士の争いにより負傷したクリンゴン人を母星に送り届けるため、エンタープライズの船長となったアーチャーはヴァルカンの反対を押し切り、人類未踏の深宇宙へ旅立った。
Star Trek:Discovery《DSC》2017年~
邦題:スタートレック:ディスカバリー
主役艦:USSディスカバリー
主要人物:マイケル、ロルカ船長、サル―など
惑星連邦宇宙艦USSシェンジョウの副長マイケル・バーナムは、調査中に遭遇した戦闘種族クリンゴン人を殺してしまい、クリンゴンとの戦争を引き起こしてしまう。
平和的解決を望むアンダーソン提督とジョージャウ船長に逆らい、船長を失神させて艦の指揮権を奪いクリンゴンに先制攻撃しようとするが、すぐに意識を取り戻した船長により拘束される。
実はマイケルの推測は正しく、クリンゴンの策略にはまった提督は命を落としてしまい、
船長もまた艦とクルーを救うべく命を落としてしまう。
この結果、戦争は拡大し、マイケルは反乱罪で終身刑を言い渡された。
一方、USSディスカバリーのロルカ船長は宇宙植物を利用した胞子ドライブ開発に行き詰っていた。
そこで船長は服役中のマイケルを戦時徴用し、マイケルは科学士官と協力して胞子ドライブを制御する事に成功する。
こうしてクリンゴンとの戦争を終結すべく、ディスカバリーとマイケルの旅が始まった。
特徴的な船体デザイン
宇宙戦艦というと日本で生まれ育った人の多くは「宇宙戦艦ヤマト」を思い浮かべる人が多いはずです。
ヤマトは「海を航行する艦」が宇宙に飛び出せるようになったというデザインですね。
これはこれで美しさがあると思います。
しかしエンタープライズを始めとしてスタートレックの宇宙艦は最初から「宇宙を航行する艦」としてデザインされています。
ヤマトとエンタープライズはよく比較されることがありますが、デザインの思考性は全く違っていますね。
※ちなみに、宇宙艦隊にはエンタープライズDの同型艦でUSSヤマトという名前の船が存在します。
特徴的なのは宇宙艦隊の旗艦であるエンタープライズの場合、第一船体である円盤部、第二船体である機関部、二対のワープナセルというのが伝統的です。
宇宙ステーションであるディープスペースナイン(そもそもDS9は連邦が作ったものではありません)を除き、ヴォイジャーが円盤部というにはやや苦しいものの、主役艦はすべてこの構成でできています。
TOSの初代エンタープライズは正直野暮ったい感じは否めませんが、劇場版で登場したエンタープライズAから、徐々にカッコよいデザインに進化していっています。
特にセッジがイチオシするのは円盤+機関+ナセルという組み合わせのデザインが最も洗練されたエンタープライズEです。
ボーグなど、惑星連邦にとって脅威となる敵を想定して建造されたこともあり、戦闘的な感じがありますが、なによりスピードが速そうな印象のデザインになっています。
セッジイチオシのエンタープライズE |
ドラマはネットフリックスがオススメ
今回は「ピカード艦長が復活する」というニュースを聞き、触発されてイキオイで記事を書いてみました。
アメリカの友人によればスタートレックはスターウォーズと人気を二分するSFシリーズとのことです。
スターウォーズはSFに属しつつもファンタジー要素が強い印象の作品となっています。
それに対し、スタートレックは「科学性」と「人間ドラマ」としての側面を強くうち出した作品シリーズです。
直接的には表現できなかった、アメリカの問題をSFでオブラートした風刺作品と実は言われています。
この世界での地球人類は優性戦争と第三次世界大戦を経て、人権問題や格差などが無くなっているという設定です。
しかし、人類が宇宙に出た事により、今度は異星人間で問題が発生してしまう。
この異星人間の問題こそが原作者ジーン・ロッテンベリーが描きたかった現実世界での社会問題を揶揄したものだったのだと言われています。
でも、実はかなり深い大人向けの作品なので、ぜひ一度ご覧になってみてください!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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