専門学校が教える理由とは? イラストレーターとフォトショップ



デザインとかのお仕事したいけど、ソフトって何を覚えれば良いのかな?
それでしたらまずイラレフォトショが鉄板ですよ!

えー?
でもそういうソフトって他にもいっぱいありますよね?
それじゃダメなんですか?
ということで遅くなりましたが、おはようございます!
デザイン講師ブロガーのセッジです!
ツイッターで「専門学校はなぜイラレやフォトショを教えているのか」という疑問をみかけたので、ボク自身も講師ですし説明しようと考えました!

あなたはデザイン系専門学校ではどのようなソフトを教えているかご存知ですか?

たとえばもし学校説明会などに参加したとすると、デッサンや構成、配色などの美術・デザインの基礎はもちろんとして「覚えるべきパソコンソフト」の授業についても説明があります。

そこで必ず出てくるグラフィックソフトといえば何だと思いますか?
そう「イラストレーターとフォトショップ」です。


デザイン系の職種というものは実はかなり種類があります。
その中でも視覚情報に特化した分野、グラフィック、Web、イラスト、映像などのデザイン。

そして、純粋に視覚情報のみとは言えませんが、それでも「見た目」が関わる分野として言えば、プロダクト、インテリア、建築などのデザインといった分野。

それぞれの分野に特化していくと、さらにその分野専門のソフトを覚える必要がありますが「イラストレーターとフォトショップ」は、ほぼどの分野にも共通しているのです。

なぜそのようなことになるのかと言えば、
この2つのソフトはデザイン業界では標準ソフトと言われているからなのです。

初心者にイラレとフォトショを勧めるのはオタク?

ツイッターでこのような目を引くつぶやきをみかけたことがあります。

「初心者にイラレとフォトショを勧めるのはオタク」

そうなんでしょうか?
シチュエーション的に、冒頭のビイヌとセッジのやり取りのような事があったのだと思われます。

しかし、この2つのソフトは上にも書いたようにデザイン業界では標準ソフトといわれています。
したがって堅実なものを勧めているだけだとも考えられるのです。

ちなみに先輩は昔、Macオタクと言われていたことがあります!
え?いやちょっとまって…。
仕事ではMacもWinも使うよね?
忙しい時は半日以上画面と向き合ってるって言ってただけだよ?
なんでそれでオタクなの…。

私自身はオタクという名称に対しての偏見はありません。
ただ、世間一般の「自分にとって理解できない趣味・嗜好・特技を持つ人」をすべて「オタク」と定義する人に対しては少し憤りを感じてはいます。

…話を戻しまして、

今回は何度も「イラストレーターとフォトショップは標準ソフトである」と繰り返していますが、これらのソフトはなぜそのように呼ばれているのでしょうか?

「イラストやデザイン制作をしたい」

としたら、グラフィックソフトと呼ばれているソフトはそれこそ数えきれないほどあります。
冒頭のビイヌのように「他ではダメなのか」という疑問が出るのは良くわかります。
正直に言えば、何を使っても良いと思います。

でも、これが、

「イラストやデザイン制作の仕事をしたい」

となってくると話は大きく変わってきます。

この理由についてはこの後お話していきますが、その前に日本で人気のある有名な3つのグラフィックソフトについて紹介している記事があります。
よろしければそちらもご一読ください。

読み終わったらまたこちらに戻ってきてくださいね!


専門学校はイラレとフォトショを使わせたがる?

このようなつぶやきも見かけました。

「専門学校はイラレとフォトショを使わせたがっている」

これじゃまるで専門学校はアドビと組んで売り上げを拡大しようとしている、かのようですよね(^_^;)

いやそうじゃないんです。
専門学校はどういう学校だと思いますか?

専門学校とは「その分野の仕事の知識と技術を教える学校」です。
つまり、その業界でポピュラーに使われているモノを教えようとしています。
その意味でイラストレーターやフォトショップの授業があります。

でもやっぱり、
この2つが標準ていうのが良くわからないなぁ
ザックリいうと、この2つのソフトが「全ての(視覚的)メディアに対応している」からなんです!

標準だと言われている理由は高機能だからではありません。
(完全否定するようなものでもありませんが)

多くのグラフィックソフトはRGBカラーしか扱えませんが、イラストレーターもフォトショップもCMYKカラーが使えるということが大きいのです。

RGBを使う視覚メディアとは何でしょうか?
基本的に画面を使用するものですね。ブログを含むWebページ、スマートフォン、TV、映画、Youtubeなど、画面や映像メディアですね。

では、CMYKを使う視覚メディアは何になるかと言いますと、新聞、雑誌や本、ポスター、パンフレット、フライヤー(チラシ)などの、出版・印刷物のメディアになるのです。

この2つのカラーに完全に対応しているのがイラストレーターとフォトショップです。

最終書き出し時に選ぶことはできるソフトもありますが、RGBもCMYKでも色を直接編集できるのがこの2つのソフトの優位性となっています。

イラストレーターとフォトショップの歴史

まずアドビのソフトの歴史でいうと、実はフォトショップよりもイラストレーターの方が先に誕生しています。

1982年、アドビシステムズ創立当時の主目的は「出版・印刷物制作の自動化」でした。
すなわち、現在は当たり前になっている出版・印刷技術であるDTP(デスクトップパブリッシング)の大元を作った会社なのです。

コンピューターで印刷物を作るなら、とても大事なのは文字=フォントですが、そのためにアドビ社内ではフォントのデータを作成するソフトを開発し、DTP専用のフォントを作成していました。

このフォントはPostScriptフォントと言い、現在主流になっているOpenTypeというフォントの元祖です。

PostScriptで作られた図形やフォントは印刷時にどれだけ拡大してもギザギザが出ないという特徴があります。
このPostScript技術は現在のDTPや電子書籍の主要ファイル形式であるPDF形式の原型となっています。

1987年、このアドビ社内用ソフトをイラストレーターとして売り出したのがデジタルデザインの始まりとも言えるでしょう。

パソコンの歴史でいうと、まず画面表示をするということに主力が置かれていましたので、一般的なグラフィックソフトは「光の三原色=RGB」のみ使用します。

しかしイラストレーターは「色材の三原色=CMY」とそれに黒インクとなるキープレート(K)を加えたCMYKカラーが使えたため「印刷物のデザインに特化したグラフィックソフト」として、デザイン・出版・印刷業界を席巻しました。

フォトショップは、イラストレーターとPostScriptの成功によってアドビの名前がデザイン・印刷業界に知れ渡ったころに登場します。

1988年にアドビはフォトショップの販売を開始します。
ノール兄弟が開発したDisplayを原型として開発されたものです。
※弟のジョン・ノールがILMの社員(現VFXスーパーバイザー)のため、スターウォーズのVFXの修正がしたくて作ったのでは?という噂があります。

フォトショップについては出版・印刷業界に加え、写真業界もターゲットにしていると考えられ、CMYKとRGB両方に対応していました。

この2つのソフトは、商業的なメディアでどのようなスペックが求められているか、また、各国のメディアの基本設定はどうなっているのか、ということを徹底的に調べ上げ、時には助力をあおいで作り上げたグラフィックソフトとなっています。

そのため、世界的なデファクトスタンダード(事実上の標準)であり、デジタルデザインの根幹になっているというのも大げさではありません。

RGBカラーではだめ?

んー…RGBじゃだめってこと?

いや、そういうことじゃないですよ。
印刷用途で考えたときにはRGBしか使えないのは厳しいというだけです。

RGB(光の三原色=加法混合)とCMYK(色材の三原色=減法混合)は色の仕組みが違うため、本来互換性がありません。

加法混合は色を混ぜていくことでどんどん白に近づいていく、つまり明るくなっていきます。
しかし減法混合は、色を混ぜていくことでどんどんくすみ、暗くなっていきます。



フォトショップは、このRGB→CMYKをかなり上手に変換しますが、それでも色はくすみます。
また、RGBの方が発色が良いので、一度CMYKにすると完全には元に戻りません。
(逆変換そのものは可能ですが、オリジナルとは違う色になります)

下図はWikipediaからお借りしたCIE Labカラースペースの図です。
国際照明委員会 (CIE) が理論上人間の目で見える全ての色を記述し、基準として利用できるように策定したものです。

図の三角形の部分が一般的なパソコンディスプレイで見ることができるsRGBで、白い線で囲まれた部分CMYKとのことです。

これを見るとCMYKの方が色の範囲が狭く、また苦手な色があることがわかります。

CIE Labカラー
©PAR ライセンス:CC BY-SA PAR Wikipedia

他の多くのグラフィックソフトはそもそもCMYKに対応していません。

最近ではクリップスタジオペイントが書き出し時のCMYK変換に対応したとのことですが、あくまで書き出し時であって、CMYKカラーを使って直接作業ができるわけではありません。
イラストレーターとフォトショップはCMYKカラーで直接作業ができます。
これができる意味はとても大きいです。

例えば、一般的に赤と認識しやすい色は数値的に言うとRGBではR255ですが、CMYKではM100Y100になります。

フォトショップの標準的な設定で色変換を行うと、R255はM96Y95に変換されます。
直接CMYKが調整できないということは、CMYKに適した色指定ができないということを意味するのです。

この色と光の性質については、以前サイエンスコミュニケーターのきどさんに監修していただき、かなり科学的に説明した記事があります。

詳しくはこちらもご覧ください。


ビジネス界の標準がMSオフィスなら…

さて、今回はツイッターのふとしたつぶやきを見かけたことから、記事にする必要性を感じまして作成しました。

前半にも書きましたように「イラストやデザイン制作をしたい」ということならどういう道具を使っても構わないと思います。

しかし、これをお仕事にする場合は、どうしてもその業界の規格や仕様に合わせる必要があります。

似たようなことで言えば、ビジネスの世界での標準ソフトと言えばMicrosoftオフィスになります。
業務上はこれらのソフトの形式で作成する必要がありますよね?

もちろんMSオフィス互換というソフトもあります。
これらのソフトは確かにその形式で保存することができますが、完全に互換ということではありませんので、そのまま相手先に渡してしまうと問題が起こることがあります。

ビジネス界での標準ソフトがMSオフィスなら、デザイン業界での標準ソフトはイラストレーターフォトショップといえます。

クリップスタジオペイントを使っている人も、下描き~描きこみまではクリスタで行い、最後の仕上げや印刷向けのデータ作成にフォトショップを使い、さらに紙面そのもののデザインを行うならイラストレーターを使う、といった複数のソフトにまたがって完成させていくという話はよく聞きます。

また、アドビ系ソフトの使用歴が就職の条件になっていることは良く見かけますが、他のグラフィックソフトではそういうものはほぼ見たことがありません。

そういった意味でも、この2つのソフトを覚えることはとても重要なのです。

最後までご覧いただき、ありがとうございます!
今回は「専門学校がなぜこの2つのソフトを教えているのか」ということと「これらのソフトを覚える必要性」についてまとめてみました!
当ブログでは今回のソフトの片割れのイラストレーターについて使い方を解説しています! あなたがイラレ初心者さんなら、ぜひ7ステップもご覧下さい!
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ではまた、他の記事でもお会いしましょう!
おつかれさまでした!






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