情報発信するならさけられない!クリエイターが知るべき著作権とは?

ブログもSNSも!クリエイターが知るべき著作権とは?
先生!イーノ、Twitterはじめたノ!

イーノ君、おはよう!
ああ、そうなんだ、じゃあさっそく見に行ってフォローをって…
これヘッダーもアイコンも全部他人の作品じゃないか!
そうなノ!イーノ、エターナルイマジンが大好物なノ!
なかでもサクラたそが…




ゴゴゴゴゴ…

我が名は、セッジ・ブラック…
クリエイティブの暗黒面を語るモノ…。
せ、先生❓❗体が真っ黒なノ❗

キサマ、人様の作品を勝手に使うとはどういうつもりダ
そこに座レ…!
ヒィ…❗

きゃー!先輩が怒ったー❗

あなたがブログなどのWebサイト、TwitterなどのSNSで使用している画像。
それらはあなたが描いたり撮影したり、あるいは使用権フリーの素材サイトから借りてきたものですか?

ひょっとして、好きなアニメや映画、イラスト、芸能人の写真などを勝手に使用してはいないでしょうか?

そのような事を行うと、著作権の侵害行為として訴えられる可能性があります。

あまり自覚は無いかもしれませんが、WebサイトもSNSも、TVや出版物と同じく情報発信メディアです。

今回は、情報発信をするクリエイターならば、絶対に知っておかなければならない「著作権」について考えていきましょう。

ということで、こんにちは!トラノです!
今回は先輩がおこに…ブラックになってしまったので、私が進行していきますネ!


著作権とは何か

せ、先生、著作権ってなんなノ…?

なん…だト?
キサマ、どこで暮らしているのダ!
日本の法律の一つではないカ❗❗
ヒィ

はいはい、じゃあ解説していきましょう!

著作権とは作品(著作物)の作者(著作者)に与えられる権利です。
以下のようなモノが著作権で保護されています。
音楽・絵画・彫刻・イラスト・デザイン・写真・小説・アニメ・映画・TV番組・コンピュータプログラム・建築物など
そしてブログの文章、さらにはTwitterのつぶやきなども、創作性があれば「全ての作品が著作権の対象になる」と言っても良いでしょう。

著作者はその著作物について独占的に権利を持ちます。
第三者が著作者の許可なく著作物を使用したり、ネットにアップロードしたり、加工したりすると著作権侵害になります。

イーノが冒頭でやってしまったような、他人の著作物を自分のTwitterアカウントのヘッダーやアイコンに使用することは著作権侵害に当たると言えるでしょう。

イ…イーノは、画像検索で出てきたのを使っただけなノ…
著作権知らなかったノ、だからセーフなノ
キサマ…画像検索を良くミロ…
「画像は著作権で保護されている場合があります」
と書いてあるではないカ❗

今、画像検索をすると「画像は著作権で保護されている場合があります」という注意が出るようになっています。

サーチエンジンでは、検索で出てきた画像に著作権があるのかどうかは判断していません。
それを使う人間の方でその判断をしなければならないのです。

著作権侵害が故意に行われた場合、著作権者が訴えることで捜査機関に侵害者の処罰を求めることができます(親告罪といいます)。
親告罪:加害者を処罰するために被害者が訴える必要がある犯罪
非親告罪:被害者が訴えなくても加害者を処罰できる犯罪
裁判により犯罪が確定すると
「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」
が課せられる場合があるなど、意外と重い罪が問われます。

「故意に」ということは「わざと」でなければ罪にならないということですが、
「著作権を知らなかった」ということだけでは「故意は無かった」とは考えられないようです。

店からモノを盗んだのに「モノを盗むことは悪いと知らなかった」という人は、窃盗罪にはならないのでしょうか?

つまりそういうことです。

著作物は著作者の財産です。
イラストやデザイン、音楽や映画、小説など…著作者は著作物を作って報酬を得ることで生活をしています。

著作権が無かったら誰でも勝手に複製して使ったり・売って良いということになり…
著作者にお金が入らなくなって、生活が成り立たなくなってしまいます。

そうなると職業として著作物を作る人がいなくなり、文化の発展に悪い影響を与えていきます。

著作権法には「文化の発展に寄与すること」という目的があり、そういった著作者や著作物を守るために存在しているのです。

実は著作権とだけいわれることが多いですが、著作者がもつ権利としては、

著作権著作者人格権との対比で著作財産権といわれることもあります
著作者人格権

の2つがあり、その中にさらに詳細に分かれた権利があります。

著作権と著作者人格権

著作権(著作財産権)とは?

前項で書いたように著作物は著作者の財産ですので、それを扱うための権利ですね。

こちらは譲渡することができます。
デザイン業務をしていると「買い取り」という用語が出てきますが、これが著作権の譲渡を意味するのです。

ただ、この「買い取り」という慣習は曖昧です。
本来であれば著作権のどの権利を譲渡するのかを具体的に決める必要があります。

著作権は以下にあるようにさらに詳細な権利に分かれています。

 複製権 著作物をコピーする権利
 上演・演奏権 公に著作物を上演・演奏する権利
 上映権 公に著作物を上映する権利
 公衆送信権 公に著作物をテレビやネットで放送・配信する権利
 口述権 公に小説などを朗読などで伝える権利
 展示権 公に美術・未発行の写真の著作物を原作品により展示する権利
 頒布権 映画の著作物を頒布(譲渡・貸与)する権利
 譲渡権 映画以外の著作物を公衆へ譲渡する権利
 貸与権 映画以外の著作物を公衆へ貸与する権利
 翻訳・翻案権 著作物を翻訳、編曲、変形、翻案等する権利(二次的著作物を制作する権利)
 二次的著作物の利用権 自分の著作物から作られた(二次的)著作物に対し、二次的著作物の著作者と同等の権利を持つことができる権利(翻訳・翻案権とリンクする)

このうち、ブログやSNSといったインターネットでの情報発信に絞れば、複製権や公衆送信権、翻案権、二次的著作物の利用権が強く関わってくると考えられます。

イーノのケースを例として、Twitterのヘッダーやアイコン、ツイートに他人の著作物を使ったということを考えてみましょう。

元の著作物を複製(ダウンロード・撮影・スキャンなど)し、アップロードすれば、基本的には全Twitterユーザー(公衆)に著作物を送信したのと同じ状態になります。

キサマのやった事は、
複製権と公衆送信権の侵害になるのダ
で、でもイーノの個人的なTwitterアカウントだし、いけないノ?
キサマはTwitterユーザーの数を知らんのカ?
日本国内だけでも4500万人といわれているゾ?
4500まん…にん?

もちろんその全てがキサマのツイートを見ることはないが、万が一バズったらどうなル?
もうこれは一つのメディアであると言えるのダ
補足しておくと「私的複製」は認められてますよ!
あくまでも家庭内利用などに限られますけどネ~!

著作者人格権とは?

この権利は聞いたことがないという人が多いかもしれません

前項では、著作権(著作財産権)は、譲渡が可能だという事を説明しました。

しかし、この著作者人格権というものは他人に譲渡する事ができない権利です。
その意味では著作権(著作財産権)は相続ができますが、こちらは相続もできません。

著作権(著作財産権)が、複製などを禁止することにより著作者の財産的利益を保護するものであるのに対し、著作者人格権は著作者の名誉的な価値・創作的な価値を守る意味で著作者の人格的利益を守る権利と言えます。

著作人格権には以下の3つがあります。

公表権

自分の著作物を公表するかしないか、またそのタイミングや方法を決める権利

「著作物を完成したあと客観的に見たら、イマイチな気がして公表したくなくなった」

などということもモノ作りの世界ではよくあることですね。
本人が公開する事を嫌がっている場合、第三者が公開することはできません。

氏名表示権

著作物の原作品や著作物を公衆へ提供するとき、著作者名(実名または変名)を表示するかどうかを決める権利

「この仕事はかなり自信作なので名乗りたい」

「普段やらない傾向の仕事なので名乗りたくない」

などと言ったことがあります。
これは、自分の名前を表示する/しないを決めるための権利です。

とはいえ、力関係で「表示したい」が通らない時もありますが…。

同一性保持権

自分の著作物を第三者に勝手に改変されない権利

最近インターネットではコラージュが流行っています。
コラージュとはいくつかの著作物を組み合わせて作り上げる創作物です。

けれども、原作を破壊する行為でもあるので、翻案権と同一性保持権の侵害になる可能性が高いです。

ひらめいたノ!
サクラたその顔だけ、イーノの顔にするノ!
それは、同一性保持権の侵害ダ
著作者は自分の著作物が壊される事を嫌う人が多いのダ
こ…これもダメなノ…?

同一性保持権とは、著作者が「この状態でみんなに見て欲しい」という意思を尊重するための権利です。

コラージュというモノは複数の著作物の世界観を壊しながら一つの著作物を作っていくので、複数使えば、その著作物の数だけその世界観を壊していることになると考えられます。

コラージュをパロディの一つの表現と考える場合もあります。

しかし、パロディ著作物も、パロディ著作者が勝手に「独自の創作物だ」と宣言しても認められにくいモノです。

許可なく制作し発表すれば、訴えられる可能性は十分にあるでしょう。

ちなみに「パロディ」という言葉も一人歩きしている印象があります。
これは「模倣」を意味するギリシャ語「パロディア」を由来としていました。

現代では「他の著作物を揶揄・風刺・批判する目的をもった模倣著作物」という意味になっています。

そのため、元の著作物の著作者にはパロディという行為そのものが不愉快に感じられるかもしれません。

他人の著作物を使ってコラージュやパロディを行うなら、訴えられる覚悟をした上でやれ、とも言えますネ。

著作権の制限規定

基本的に他人の著作物を扱う場合は許可を取る必要があります。
ですが、実は全てにおいて許可が必要なわけではありません。

著作権の侵害と思われる行為の中でも、トラノちゃんが解説していたように「私的複製」という方法や、ブログやツイートで良くみかける「引用」という方法であれば例外として認められています。

こういったものは「著作権の制限規定」といって、これもたくさんの規定がありますが、
ここでは一般生活やブログ、SNSなどに関わりが多い「私的複製」と「引用」に絞ってお話していきます。

私的複製

正式には「私的使用のための複製」と言います。

個人的に、または家庭内のような限られた範囲内で使用する目的であれば著作物をコピーできます。
同じ使用目的であれば翻訳・翻案も可能です。

家庭内のような限られた範囲がどこまでなのかがよく議論されます。

一般的には家族または家族同然の付き合いのある4~5人くらいまでの範囲なら許される可能性が高いようです。
これが学校のクラスメートのレベルにまで広がると、私的複製の範囲を外れ違法となります。

ただし、

「コピーガードキャンセラーにより可能となったコピーをその事実を知りながら行うコピー」
「インターネット上に違法にアップロードされたファイルを違法アップロードと知りながらダウンロードすること」

などの行為は、私的使用目的であっても違法になります。

引用

公表されている著作物は、公正な慣行(ルール)を守り、引用の目的上正当な範囲内であれば、自分の著作物内に取り入れる事ができます。これが「引用」です。

どういう場合に引用が許されるか難しいのですが、以下のようなことが条件になるようです。
・公表された著作物であり、未公表著作物で無いこと
・引用部分とそうでない部分の区別が明確につくこと
・引用部分が主、被引用部分が従という関係があること
・引用の目的上正当な範囲であること
・引用する必要性があるかどうか
・出典元がどこなのか明示すること
・改変しないこと
この中でわかりにくいのは、

「引用部分が主、被引用部分が従という関係があること」

「引用の目的上正当な範囲であること」

でしょうか?

引用部分が主、被引用部分が従という関係があること

紹介や批評をしたい著作物があった場合、その自分で書く文章が「主」であり、引用される文章や絵などが「従」である必要があります。

たとえば、アニメの画像を掲載し「このアニメは面白いよ!」と一言添えただけでは引用になりません。

そのアニメをしっかりと考察し、根拠や仮説を示して「だから面白いのだ」という形にする必要があるということですね。

また、量的にも自作部分を多くして、引用部分は少なくする必要があります。

引用の目的上正当な範囲であること

上記主従関係において「量的に自作部分を多くして、引用部分は少なくする必要がある」と書きました。

しかし、たとえば自作部分が圧倒的に多く考察がしっかりしていても、引用部分がアニメやマンガの1話まるまるであった場合はどうでしょうか?

その作品が完全に鑑賞できる状態で掲載すると、基本的には、評論や紹介の範囲を超えてしまいます。

評論や紹介はそれを行うことで読者に興味を持たせる意味もあります。
でも、必要以上に引用して読者が満足してしまったら、モノが売れなくなる可能性が高くなります。

主従関係が成立していても、引用しすぎてはいけないということです。

ジブンがTwitterを見た範囲では「引用のルールを満たした」ツイートはほとんど見当たらなかったナ
「自分のツイートを面白くしたい」とか「目立たせたい」が多かったですね。


二次創作:同人誌やファンアート

先生…やっちゃイケナイ事があるってわかってきたノ

わかって貰えたならヨロシイ

でも、疑問なノ。
同人誌とかファンアートって問題ないノ?
同人誌にも完全創作系のモノもあれば…二次創作もあるナ
イーノの言っているのは二次創作だろウ

著作権の話をしていると必ずでてくるのが、この疑問です。

「なぜ同人誌やファンアートは問題にならないのか」

という事ですね。
昔から同人誌やファンアートは「著作権のグレーゾーン」と呼ばれてきました。

これらは、著作物を元にして作られた二次的著作物ということになります。

多くの同人・ファンアート作品は無許可で制作されているため、翻案権や同一性保持権の侵害の可能性があります。

しかし、著作者としても、自分の著作物を模倣した同人誌や、イラストなどの作品についてはファン活動の一貫として黙認している事が多いです。

ただし、あくまでも黙認です。
適法ではないことに注意が必要です。

また、著作者(個人も企業も含む)の中には、一定のガイドラインを守ることで「黙認」ではなく、使用を認めている場合もあるようです。

ただし、その場合でも特定の著作者が認めているだけであって、多くの著作者は原則「黙認」であることを忘れないほうが良いでしょう。


内容的に見過ごせず、黙認されなかったケースもあります。

有名なところでは、
古くは「ミッキーマウスプール画事件」
近年では「ポケモン同人誌事件」「ドラえもん最終話同人誌問題」

などといったものがあります。

「どらえもん最終話同人誌問題」については経緯をWikipediaで閲覧することができますので、興味があればご覧ください。


クリエイターが知るべき著作権

今回はあえて「クリエイターが知るべき著作権」というタイトルで記事を作成しました。

「自分はクリエイターじゃないよ?」

と思われる人もいるかもしれません。
しかし、それは違います。

この記事を読んでいるあなたは、ブログやTwitterで情報発信をしていませんか?
「おはよう」「こんにちは」など、誰もが日常的に使っている言葉は確かに創作性は無いかもしれません。

でも、中にはとても独特な…創作性のある文章を発信されている人もいます。
ブログを持っていなくても、Twitterで自分の作った絵や詩、音楽を公開している人もいますよね。

みんな立派なクリエイターです。

あなたがその時の感情(または魂)を込めて作った渾身のコンテンツ。
それが勝手に使われたり、自分の意図しない使われ方や、改変をされたらどう思いますか?

とても不愉快ではありませんか?

逆もしかりなのです。
自分ではない他の作者にも作品にも敬意を払い、ぜひ大事にしていきたいものですね。

またひらめいたノ!
イーノが好きなアニメ著作物の絵をなぞって描けばいいノ!
これは自分が描いたモノなノ!
❗❗❗
キサマそれを何というか知らんのカ❓❗
人はそれを「盗作(パクリ)」というのダ❗❗❗
ヒィィ!

なんか、先輩が説明するたびにイーノが油を注ぐので…
今回はもう元の姿には戻らないみたいですね。
クリエイターたるもの、自分の作品も誰かの作品も大事にしたいですよネ。
その通りダ
本当にその作品や作者が好きなら大事にできるハズなのダ
最後までご覧いただきありがとうございました。
またお会いしましょうネ!
さらばだ、諸君。また会おウ

なお、当記事のうち著作権法に関する部分については、法律家の観点から、
デザイナー法務小僧様(@designer_kozo)に監修を頂いております。

デザイナー法務小僧とは
『クリエイターと法務の谷間を解消し、クリエイターが安心して活動できる環境をつくること』
を目的として、現役の弁護士2名により運営されている、クリエイターのためのリーガルサイトです。

月1回のクリエイターのための法務セミナーの開催や、無料法律相談窓口の提供なども行われていますので、
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