ポートフォリオとは?クリエイター必須の作品集

ポートフォリオとは?クリエイター必須の作品集

「就活や売り込みのためにポートフォリオを作ろう」

クリエイターは仕事として対価を得ないと生きていけません。

会社員になるなら就職活動をしなければいけませんし、フリーランスになるのであれば制作会社や出版社に売り込む必要があります。

そこで必要なのが「ポートフォリオ」です。
ポートフォリオとは、そのクリエイターの「今」を見せる大事な作品集です。

フリーランスの場合は常に更新し続けると言うか…。
その活動を続ける限り一生作り続けるモノかもしれません。

昔は「紙のポートフォリオ」を持ち歩くのが一般的でした。
しかし、ネットワークが発達した現在、作品を見せる場というのはネットワークにも数多く存在します。

その意味ではあなたは、
こういった昔ながらのポートフォリオは必要ないのでは?
と思ったかもしれませんね。

実際のところはどうなのでしょうか?
普段生徒たちにポートフォリオ作成を指導するコトもありますので、経験を踏まえてお話します。

というコトでおはようございます!
デザイン講師ブロガーのセッジです!
今回はゆみりんさんからのご相談を受け、ポートフォリオの必要性について回答しています!

▼以前ゆみりんさんが登場した記事はこちら

SNSでイラストを受注しようとしたら、そこはすでにレッドオーシャンだった?! 誰もがクリエイターになれる今日この頃、どうしたらこの世界で生き残っていけるのか?  

ポートフォリオについてのご相談

セッジさん、お久しぶりです。
ちょっとポートフォリオについてご質問があります。
ゆみりんさん、お久しぶりです!
どういうコトでしょう?

ゆみりんさんのご質問は以下のようなものです。
最近、Twitter上でポートフォリオの話題を度々目にします。
皆さん紙に印刷をしてファイルに閉じて、営業先に配っているようなのです。
今の時代、behanceやartstationまたは自分のサイトなどを使い「オンラインポートフォリオ」を作成すればいいのではないでしょうか?
この点お考えがあればお聞かせ下さい!
実はこういった質問は、ゆみりんさんから聞くのが初めてではありません。
生徒にポートフォリオの作成指導をする時にも同じような質問が出てきます。

いまは高度なネットワーク社会になってきています。
その意味では、ネット上に作品を発表する場がいくつもあるのだから、特に紙ベースのポートフォリオは必要無さそうに考えられるからです。

では、このご質問について回答していきます。

SNSがあればポートフォリオはいらない?

クリエイター系のSNSといえば、
あなたが思い浮かべたのはPixiv(ピクシブ)では無いでしょうか?

Pixivはクリエイター系SNSでは日本最大ですし、とても有名ですからね。

でも海外ではこれ以外にもいくつもあります。
例えば世界最大級かつ老舗的クリエイターSNSといえば、Deviantartが有名です。

DeviantArt is the world's largest online social community for artists and art enthusiasts, allowing people to connect through the creation and sharing of art.

ゆみりんさんのお話にでてきたartstationは、このDeviantartに迫る勢いを持ったSNSと言われています。

ArtStation is the leading showcase platform for games, film, media & entertainment artists.

また、同じく話に上がったBehanceとは、実はこれはAdobeが運営するSNSです。

Behance is the world's largest creative network for showcasing and discovering creative work

それでは見出しの通りですが「SNSがあればポートフォリオはいらないのか」についてです。

SNSのメリットとは何でしょうか?
  • ドメインパワーが高いのでサイトにすぐたどり着ける
  • クリエイター特化SNSなので似た傾向の仲間ができやすい
  • 画像を投稿するだけで自動でレイアウトされる
このようなところです。

これだけ聞いていれば、ゆみりんさんが言うようにSNSをポートフォリオとすれば良いようにも思いますが、SNSのデメリットもあります。

それは、
  • 登録者が多数なので埋もれてしまう
  • 自分の作品以外に他者の作品も見えて集中しにくい
  • 独自の構成・デザインにしにくい
こういったところです。

SNSを通じてお仕事の依頼が欲しいとして、例えばBtoC(対個人の取引)なら良いのですが、BtoB(対企業の取引)だったらと考えてみます。

BtoBの場合、イラストレーターを採用したいと考えるのは、プロデューサーやディレクター、デザイナー、出版社ならば編集者と言ったところです。

彼らは普段の業務をこなしながらイラストレーターを探しているので、ストレートに言えば時間がありません。

もちろんSNSを閲覧することもあるでしょうが、
どちらかと言えば売り込んでくれたほうが探す手間が省けて良いくらいです。

そこで私が提案するのは3種類のポートフォリオを用意するというコトです。

もちろんSNSがきっかけになることもあるので、登録しておいた方が良いのは間違いありません。

ポートフォリオの種類と役割

え!3種類もポートフォリオを用意するのですか?

いえ、3種類で無くても良いのですが…
というか、その3種類、具体的に解説しますね。

セッジが提案した3種類のポートフォリオは以下のようなものです。
  • ポートフォリオWebサイト
  • デジタルポートフォリオ
  • 紙のポートフォリオ
それぞれを見ていきましょう。

ポートフォリオWebサイト

まずポートフォリオWebサイトですが、これはもちろんネットワーク上のあなただけのWebサイトです。

ネットワーク環境さえあればどこでも、集中してあなたの作品を見てもらえます。

他の2つのポートフォリオと違い、
不特定多数に見せられるため、営業の自動化とも言えるメリットがある反面、導線を考えないと誰にも知ってもらえないというデメリットがあります。

また、「Webサイトを作る」となるとHTMLやCSSを使う必要があり、Webデザイナー以外のクリエーターにはハードルが高くなりがちです。

その解決策としては「Adobe Portfolio」などHTMLがわからなくてもWebサイトが作成できるサービスを利用する方法があります。

Adobe Portfolioを使えば、HTMLやCSSの知識が無くても大丈夫?! クリエイターなら必須のポートフォリオサイト…

デジタルポートフォリオ

ポートフォリオWebサイトもデジタルデータでできていますので、一見意味が無いようにも思うかもしれませんね。

ただ、Webサイトの場合はネットワークに繋がっていないと見ることができません。
このデメリットはクリエイティブ系SNSにも当てはまります。

ネットワークの上でトラブルが起きたら、その時点で見れなくなってしまいますよね?
そういったコトを考えると、取引相手が管理しやすくかさばらないデジタルポートフォリオが便利です。

この場合PDFのマルチページにしておくのがベターです。
それは大量のJPEGファイルなどを送信してしまうと「管理のしやすさ」というメリットが無くなってしまうからです。

また、ファイルサイズにも注意が必要です。

例えばGmailなどは25MBまでのファイルが添付できますが、会社のメールサーバーなどを利用している場合、そこまでの添付ファイルは迷惑になります。

そのため、個人的には10MB程度のサイズに収めておくべき、と考えています。

紙のポートフォリオ

もっともオーソドックスなポートフォリオです。

インクジェットプリンタや、マルチコピー機などでプリントし、クリアーファイルなどに入れて持ち歩きます。

人によっては印刷会社さんに発注し、パンフレット型のポートフォリオとして印刷する場合もあります。

クリアーファイルのデメリットは「実体化されているのでかさばる」コトですね。
生徒たちの中には「時代おくれ」だと思う子もいるようです。

しかし紙のポートフォリオにはデジタルがかなわない強いメリットもあります。
  • 電気を必要としない
  • 印刷された時の色の状態が見れる
デジタルポートフォリオをPCやタブレットで見せるには電気が必要です。
(当たり前ですが)

例えばタブレットなどで見せようと思ったら、
バッテリー残量が無くなり見せられなくなってしまった、というコトも起きたりします。

しかしながら、紙のポートフォリオなら電気の使用状況に関係なく見せられます。
(これも当たり前ですが)

そしてもう一つが「印刷された時の色が見れる」というメリットです。
Webデザイナーなど、画面で見せるコトに特化している職種なら、RGBカラーだけでも問題はありません。

しかし、グラフィックデザイナーや、イラストレーター、フォトグラファーなどの場合は最終形態が印刷物になるコトも多いため「印刷された時の色」すなわち「CMYKのインクで表現された色」が確認できる必要があります。

なぜなら「RGBの時の色と、CMYKで印刷した時の色は違う」からです。

以下はセッジが年賀状印刷をしていた時のサンプルです。

RGB→CMYKの弊害

このキャラはもともとシアン寄りの色なのに、RGBで配色してしまったためプリント時に妥当な色が出るまで何度も試す事になってしまいました。

RGBでのイラストがとてもキレイだったとしても、使う側からすれば印刷時に大きく変わってしまうのではとても困ります。

もちろんプリンタのインクと印刷のインクは発色が違いますが、それでもCMYKでの色味を見れるのは安心感があります。

紙のポートフォリオやデジタルポートフォリオを作るには、
当ブログとしては、Adobe illustrator(またはInDesign)をオススメします。

Adobe illustrator 初心者が上達するために必要な7つのステップをイラレを覚える段階順にまとめています。 これからイラレを始める人や初心者、中級者に向けた記事です。 Adobe CC持ってるけどイラレわからん!というあなたもぜひご覧ください!

ポートフォリオに必要な要素とは?

私が生徒にポートフォリオ制作を指示した場合、ただ作品を並べただけになってしまうコトがあります。

ポートフォリオは単純に作品を並べただけでは意味がありません。

そのクリエイターの作品だけでなく、まとめていく力であるとか、クリエイターとしての思考性、将来性、コミュニケーション能力などを見るためのものでもあります。

まず必要なのは、デザインの基本とも本質とも言える、
「これを手にとった人がどう思うかを考える」
というコトでしょう。

そのために必要と考えられるのは以下の要素です。
  • 自己紹介
  • スキル紹介
  • 得意なジャンル
  • 作品(10点以上)
  • 作品説明
  • 将来のビジョン
作品はもちろんとして、このうち個人的に重要と考えているのは
「自己紹介」「作品説明」「将来のビジョン」です。

それぞれを解説していきますね。

自己紹介

若い子の多くが「◯◯年△月に生まれる/◯◯年△月に◇◇高校を卒業」…などと書いてきますが、これでは自己紹介というより履歴です。
人はストーリーがあると読んでしまうと言われていますので、あなたの生い立ち、信念やこだわりなどを書くのが良いでしょう。
あなたの人物像が伝わります。

作品説明

意外と多いのが、作品だけ載せて説明がなかったりするコトです。
その作品のテーマやコンセプトは何なのか、なぜそれを作ろうと考えたのか、使用した画材(ソフト)は何か、制作時間はどのくらいかかったのか、こういったコトをできる限り付けたほうが良いです。

将来のビジョン

特に若い方は用意しておいた方が良い要素です。
今はまだ担当した経験は無くても、やってみたい仕事、挑戦してみたいジャンルなどを書いておきましょう。
ひょっとしたらチャンスが舞い込んでくるかもしれません。

―――

以下の画面はセッジのポートフォリオをillustratorで制作している様子です。

基本的には上記の要素を考えた上で、表紙・信念・自己紹介・作品、最後に連絡先などを記入したページ…と、「一冊の本」を作るイメージで制作しています。

ポートフォリオをillustratorで制作している様子

ポートフォリオはクリエイター必須の作品集

今回は、ゆみりんさんからのご質問がきっかけとなり、
クリエイターの「今」を見せる大事な作品集「ポートフォリオ」について解説しました。

昔ながらの紙のポートフォリオもあれば、
PDFなどを使用したデジタルポートフォリオ、
不特定多数に見せられるポートフォリオWebサイトなど、

セッジの学生時代と比べると今はとても多彩になっています。

作るモノが多くて大変かとは思いますが、

まずデジタルポートフォリオを作っておいて、いつでもプリントできる準備をしておくことをオススメします。

なぜならば、そうしておけば取引先にデジタルポートフォリオの提出を求られても、紙のポートフォリオの提出を求められても、どちらにも対応できるからです。

※PowerPointなどでもPDFは作成できますが、細かい処理やCMYKに対応していないコトから、クリエイティブ系ポートフォリオという意味ではオススメしません。

―――

さて、それでは今回ポートフォリオ解説を書く上でのきっかけとなった、
ゆみりんさんをご紹介します。

今回も勉強になりました。
セッジさん、ありがとうございました。
いえいえ、良い質問ありがとうございました!
せっかくなので、ゆみりんさんの最近の作品を見せてもらっていいですか?
はい、まずは最近チョークアート風のイラストにハマってるので、これをご覧ください!

ゆみりんイラスト1
ほうほう、カワイイイラストですねー!
でもなんでチョークアートっぽい画風にしてるんですか?
カフェへ行くのが好きで、そこでおしゃれなチョークアートで描かれたイラストメニューを見て、自分でも表現してみたくなりました!
チョークアートの持つほっこり感を楽しんで頂けたらと思っています!
なるほどー!
他にもあるみたいですね?
はい、もう一つは最近マンガを描いてTwitterで発表してるんです。


ほほー。
なんか、日本とブラジルの食文化の違いみたいな話ですね?
なぜマンガを描き始めたのですか?
さまざまなテーマのあるあるをマンガにしているbusonさんに影響を受けました。
ブラジル在住者やブラジル好きな人など、異文化に関心のある人に見てもらえればと思っています。
なるほどなるほど。
前にお話したときから結構時間経ってますけど、いろいろ挑戦されてるのですねー!
作品がたまってきたら、ゆみりんさんもぜひポートフォリオを作ってくださいね!
はい、わかりました!

ゆみりんさんご紹介 絵を描くことが好きです!絵から創造する喜びを学ぶことで、消費するだけの人生から抜け出すことができました。💞
誰かに感動を与えられる説得力のあるイラストを描くのが人生の目標です。
ブラジルにて子育て中!🇧🇷
過去にこだわらず、未来に期待せず、今を生きるのがブラジル流!
Instagram:@yumirin791
Twitter:@yumirin791

「1億総クリエイター時代」とも言われる昨今、
自分というクリエイターを知ってもらうのにはいろいろな手段が必要になってきました。

その分いろいろ準備するコトになり、クリエイターの負担も高くなってきているとも言えますが…

そこはそれこそAdobe Portfolioやillustratorなど、便利なサービスを活用して行くのが良いでしょう。

あなたの営業ツールでもあり、
あなたの作品や世界観を見せるツールでもある「ポートフォリオ」
ぜひ制作して次の活動への準備をしていきましょう!




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